― 面接官の意図と、信頼される質問の仕方 ―
介護の面接で最後によく聞かれる「何か質問はありますか?」。
実はこの“逆質問”の時間こそ、あなたの印象を大きく左右する重要な場面です。
面接官が見ているのは、質問の内容そのものではなく、あなたの考え方・姿勢・関心の方向性。
「どんな人か」「一緒に働けそうか」「前向きに学ぶ姿勢があるか」を、この数分間で見極めようとしています。
そして、信頼される人の特徴は──
「どうしたらいいですか?」ではなく、「私はこう考えていますが、どう思いますか?」と聞ける人。
丸投げの質問よりも、自分の考えを添えて質問できる人ほど、面接官から「この人は現場でも考えて動ける」と評価されます。
この記事では、介護職の面接で評価が上がる逆質問の考え方と、好印象を与える質問例10選・避けるべきNG質問を具体的に紹介します。
さらに、私自身が介護事業所を経営し、採用面接を数多く行ってきた立場から、“信頼される質問の仕方”についても解説します。
「何を聞けばいいかわからない」「印象を良くしたいけど、無理に質問するのも不安」という方も大丈夫です。
この記事を読むことで、介護の現場で信頼される人の聞き方がわかり、自信を持って面接に臨めるようになります。
介護の面接で見られている基本ポイント(3+1)

介護の面接では、資格や経験よりも「この人に仕事を任せて大丈夫か」が最も重視されます。
面接官は、あなたの受け答えや質問を通して、次の3つの基本ポイントを見極めようとしています。
1. 利用者を安全に支援できるか
──つまり、仕事をいい加減にせず、責任感を持って行動できるかどうか。
介護の現場では小さな気のゆるみが利用者の安全に関わるため、誠実で丁寧な姿勢が何より大切です。
2. 周囲のスタッフと協力できるか
介護はチームで行う仕事です。
どんなに技術があっても、周囲と連携できなければ現場は回りません。
協調性や報告・相談の姿勢が自然に表れているかが評価の分かれ目になります。
3. 長く働ける意欲があるか
「すぐ辞めそう」と感じさせないことも重要です。
安定して利用者を支援できる人材は、事業所にとって大きな安心材料になります。
そして、この3つに加えて──
+1. 前向きに成長しようとする気持ち
完璧である必要はありません。
「今はできなくても、できるようになりたい」「経験を積んで成長したい」という姿勢が伝われば、それだけで印象は大きく変わります。

この4つを意識して面接に臨むと、受け答えだけでなく、逆質問の内容やトーンにも自然と前向きさがにじみ出ます。
介護の面接のよくある質問についてはこちら
👉【必ず聞かれる】介護面接10の質問と答え方|面接官が見ているポイントと対策
「何か質問はありますか?」―この質問の意図

介護の面接で最後に聞かれる「何か質問はありますか?」は、単なる形式ではなく、面接官が応募者の関心の方向性や主体性を見ている重要な場面です。
ここでのポイントは、「何を聞くか」よりも「どう聞くか」。
丸投げの質問(「どうしたらいいですか?」だけ)よりも、自分の考えを添えて質問できる人は、現場で信頼される可能性が高くなります。
たとえば、研修制度について聞く場合でも、

新人研修はありますか?
ではなく、

介護職として長く働きたいと思っているのですが、御社では新人研修やフォロー体制はどのようにされていますか?
と聞くと、同じテーマでも「主体的に考えている人」という印象になります。
私の事業所でも、相談として「どうしたらいいですか?」だけを尋ねられることがあります。
もちろん相談は歓迎ですが、「私はこう考えていますが、どう思いますか?」と聞いてくれる方のほうが、主体性があり信頼できる人という印象になります。
面接でも同じで、丸投げではなく「一緒に考える姿勢」を示す質問が、評価アップにつながるのです。
完璧に答えを出す必要はありません。少しでも自分なりの考えを添えるだけで、印象は大きく変わります。
逆質問をする時の基本スタンス|信頼される聞き方のコツ

介護面接の逆質問では、答えをもらうだけではなく、「理解を深めたい・貢献したい」という姿勢を示すことが大切です。
面接官は、あなたの主体性・前向きな姿勢を逆質問を通して見ています。
基本のポイント
- 答えを求めるのではなく、理解を深めるための質問にする
例:「御社では新人研修やフォロー体制はどのように行われていますか?」
→「より良い仕事をするために知りたい」という意欲が伝わる。 - 事前に施設やサービス内容を調べる
事前情報を踏まえた質問は、準備してきたこと・関心の高さを示せる。 - 質問に自分の考えや意見を添える
例:「私は〇〇の経験がありますが、こちらの業務で活かすためにどのような取り組みが可能でしょうか?」
→「ただ聞くだけではなく、一緒に考えようとする姿勢」が伝わる。 - 答えをもらったらリアクションを返す
「なるほど、そういう流れなのですね」と簡単にでも反応を返すことで、理解力・コミュニケーション力がアピールできる。
- 「自分の頭で考えて質問できるか」が評価につながる
- 丸投げ質問や待遇だけの質問は避ける
- 「理解したい」「貢献したい」という姿勢を意識する
ここまで意識すれば、次は具体的な質問例を見てみましょう。
評価が上がる逆質問10選(自分の考えを添える例付き)

介護面接で逆質問をするときは、単に質問するだけでなく、自分の考えを添えることで「主体的に考えられる人」と印象づけることができます。
ここでは、成長意欲・チームワーク・現場理解などの観点で評価が上がる質問例を10個紹介し、それぞれに添え方の例もつけています。

ここで紹介する質問例は、実際に使うときは「自分の言葉」に調整して使ってみてください。
面接官は、言葉そのものよりも「考えて質問しているか」を見ています。
① 成長意欲・スキルアップを示す質問
1. 新人研修・フォロー体制に関する質問
質問例:
新人研修やフォロー体制はどのように行われていますか?
- ねらい:学ぶ姿勢・定着意欲のアピール
- 印象:前向きに成長しようとする姿勢が伝わる
- 添え方例:

私は入職後すぐに基本業務を身につけたいと考えていますが、研修やフォロー体制はどのようになっていますか?
2. 成長・スキルアップ支援
質問例:
介護職としてスキルを伸ばすための支援制度はありますか?
- ねらい:自分で学び続ける意欲の表現
- 印象:向上心があり、長く働く意欲があると受け取られる
- 添え方例:

私はレクリエーションや身体介助の技術をさらに向上させたいと考えていますが、御社ではどのようなサポートがありますか?
3. キャリアパスや資格取得支援
質問例:
介護福祉士などの資格取得を支援する制度はありますか?
- ねらい:長期的に働きたい姿勢のアピール
- 印象:キャリア形成に前向きな印象を与える
- 添え方例:

私は将来的に介護福祉士を目指したいと考えていますが、御社ではどのような支援がありますか?
② チームワーク・職場適応力を示す質問
4. 職員の大切にしている価値観
質問例:
御社で働く職員の方々は、どのような点を大切にされていますか?
- ねらい:チームワークへの関心を示す
- 印象:現場の文化を尊重する人柄と伝わる
- 添え方例:

私も利用者さんと協力しながら働くことを大切にしていますが、御社では特にどの点を重視されていますか?
5. チーム内のコミュニケーション
質問例:
職場ではどのようにスタッフ同士の連携や情報共有をしていますか?
- ねらい:協調性・チーム適応力のアピール
- 印象:円滑なチームワークを意識していると伝わる
- 添え方例:

私は利用者さんの情報をきちんと共有することを大切にしていますが、御社ではどのような方法で行われていますか?
6. 職場の雰囲気・文化
質問例:
職場の雰囲気やチームの特徴について教えていただけますか?
- ねらい:環境への関心と適応意欲のアピール
- 印象:チームに溶け込む姿勢が伝わる
- 添え方例:

私は協力しながら仕事を進めるのが好きですが、御社のチームではどのような雰囲気でしょうか?
③ 職場理解・利用者理解を示す質問
7. 利用者との関わり方
質問例:
利用者さんとの関わりで特に大切にしていることは何ですか?
- ねらい:介護職としての姿勢・価値観の理解
- 印象:利用者本位の姿勢を持つ人と認識される
- 添え方例:

私は利用者さんの気持ちに寄り添うことを心がけていますが、御社ではどの点を重視されていますか?
8. 入職後の業務のイメージ
質問例:
入職後、最初の1か月はどのような業務を担当しますか?
- ねらい:意欲・前向きさのアピール
- 印象:現場で早く貢献したい姿勢が伝わる
- 添え方例:

私は早く戦力になりたいと考えていますが、最初の1か月で特に重点的に覚える業務は何でしょうか?
④ 主体性・現場貢献意識を示す質問
9. 現場での改善・提案の機会
質問例:
現場で改善案や提案を出す機会はありますか?
- ねらい:主体性・考える力のアピール
- 印象:自分で考えて行動できる人と受け取られる
- 添え方例:

私は利用者さんの生活をより良くするために自分で工夫するのが好きですが、提案できる機会はありますか?
10. 入職後に期待される役割
質問例:
入職後、特に期待される役割や目標は何でしょうか?
- ねらい:現場貢献意欲・責任感のアピール
- 印象:任されることを意識して前向きに取り組む姿勢が伝わる
- 添え方例:

私はまず基本業務をしっかりこなしたいと考えていますが、御社として入職者に特に期待される役割は何ですか?
- 添え方例は「自分の考え+質問」にすることで、丸投げではなく主体的な印象を与えられる
- 2~3個を事前に準備しておくと自然に出せる
- 文言例は、「自分の言葉」に調整して使う
- 面接官は「学びたい姿勢」「現場への関心」「考える力」を見ている
介護の面接の受かるサインについてはこちら
👉【不安解消】介護面接の受かるサイン&不採用サイン|採用担当者が解説する安心の理由
NG質問とその理由|避けるべき逆質問

逆質問はチャンスですが、聞き方を間違えるとマイナス評価につながります。このセクションでは、「待遇ばかり気にする」「準備不足で何も聞かない」「丸投げで聞く」など、面接官に悪印象を与える質問例とその理由を解説します。
1. 条件ばかりを聞く質問
例
「残業はどのくらいありますか?」
- 理由:自分の都合を優先する印象を与える
- 印象:協力姿勢や職場への関心が低いと見られ、マイナス評価
例
「休みは取りやすいですか?」
- 理由:待遇面ばかりを重視している印象
- 印象:現場や利用者への配慮より自分中心に考えていると判断される
「残業はどのくらいありますか?」という質問自体は悪くありませんが、いきなり聞くと印象を損ねることがあります。
「業務の流れを知りたい」「繁忙期のサポート体制を知りたい」といった形に変えると、前向きな印象になります。
2. 興味・準備不足が伝わる質問
例
「特に質問はありません」
- 理由:職場への関心や事前準備が不足している印象
- 印象:受け身で主体性がないと評価され、信頼感が下がる
3. 回答が簡単すぎる・丸投げ質問
例
「どうしたらいいですか?」
- 理由:自分で考えず他人に任せる姿勢が透けて見える
- 印象:主体性や判断力が乏しいと判断される可能性がある
たとえば、面接で「利用者さんと関わるうえで心がけることはありますか?」と聞かれたときに、
「どうしたらいいですか?」とだけ返してしまうと、受け身な印象になります。
同じ内容でも、
「私は〇〇のように関わることを意識していますが、御社ではどのような点を大切にされていますか?」
と言い換えると、主体性が伝わります。
4. 軽率・突飛な質問
例
「早く帰れますか?」
- 理由:業務に対する真剣さが伝わらない
- 印象:仕事への責任感が低いと見られる
- 逆質問は待遇交渉の場ではない
「自分の得」だけを目的にすると、協調性や責任感の評価を下げる - 目的は信頼づくり
「学びたい」「貢献したい」「現場を理解したい」という姿勢を見せることが重要 - 丸投げ質問は避ける
相談は歓迎されますが、「自分はこう考えているが、どう思いますか?」という形で質問すると、主体性が伝わる
介護の面接で落ちる人の特徴はこちら
👉介護の面接で落ちる人の特徴とは?採用担当者が語る本音と合格のコツ
逆質問の準備とまとめ|面接前にできること

逆質問は準備次第で印象を大きく変えられます。
ここでは、面接前にできる具体的な準備方法や質問の選び方、当日の伝え方のポイントをまとめています。
事前に練習しておくことで、自信を持って逆質問できるようになります。
1. 事前リサーチを徹底する
- 施設や法人のウェブサイト、パンフレット、SNSなどで情報収集
- サービス内容や理念、研修体制など、質問の材料になるポイントをチェック
「御社では〜」という言葉を入れるだけで、一般的な質問ではなく、
「あなたの会社だからこそ知りたい」という姿勢を伝えることができます。
たとえば、「研修制度はありますか?」よりも「御社では 新人研修やフォロー体制はどのようにされていますか?」
と聞くと、準備の丁寧さや関心の深さが伝わり、印象がぐっと良くなります。
2. 質問を2〜3個メモしておく
- 面接中に自然に出せるよう、短く整理
- 「学びたいこと」「現場で知っておきたいこと」を軸に考えると自然
例:- 「新人研修やフォロー体制はどのように行われていますか?」
- 「御社で大切にしているチームワークのポイントを教えてください」
3. 質問の見せ方を意識する
丸投げではなく、自分の考えを添えます。
- NG例:「どうしたらいいですか?」
- 良い例:「私は〇〇と考えていますが、御社ではどのように取り組まれていますか?」

こうすることで主体性・思考力・信頼感が伝わります。
4. 面接での逆質問の心構え
- 「自分がどう見られたいか」を意識して質問を選ぶ
- 「学ぶ姿勢」と「現場への関心」を示すチャンスと捉える
- 最後の印象作りとして、面接官に前向きで安心感のある印象を残す
まとめメッセージ
面接の逆質問は、単なる質問の時間ではなく、「あなたがどんな人か」を伝える重要な場です。
- 学ぶ姿勢
- 現場への関心
- 自分で考えて質問できる主体性
これらを示すことで、「この人なら任せられる」と面接官に思ってもらえるチャンスになります。
面接前に逆質問を準備し、自分の考えを添えて伝えることを意識すれば、自信を持って面接に臨めます。
その他の対策についてはこちら
👉【介護職の面接対策完全ガイド】経営者が教える服装・質問・合格率アップのコツ
【次の一歩】あなたに合った介護の働き方を見つけましょう

面接の準備が整ったら、
次は「自分に合った介護の働き方」を考えてみましょう。
介護の仕事には、ライフスタイルに合わせたさまざまな選択肢があります。
① 訪問介護パートという選択肢を知る
家庭や子育て、副業と両立しながら働きたい方には、訪問介護パートがぴったりです。
利用者さんと1対1でじっくり関われるため、やりがいを感じやすく、自分のペースで柔軟な働き方ができます。
訪問介護では 「介護職員初任者研修」以上の資格が必要になりますが、その分利用者さんから信頼され、安定して働ける環境が整っています。
訪問介護パートの面接についてはこちら
👉【経営者が解説】訪問介護パートの面接は少し違う!見られるポイントと働き方の実際
👉 訪問介護パートの求人を探す(ジョブメドレー・PR)※訪問介護パートに強い求人サイト。希望条件で探せます。
② 資格を取ってキャリアアップ
「これから介護の仕事を始めたい」「訪問介護にも挑戦してみたい」という方は、まず 介護職員初任者研修の取得からスタートしましょう。
未経験から受講でき、訪問介護・施設介護どちらにも役立つ基本資格です。
(実務者研修・介護福祉士を目指す方も、まずは初任者研修からのステップアップがおすすめです)
③ 自分らしい働き方をデザインする
短時間勤務や副業との組み合わせなど、介護の働き方は一つではありません。
あなたの生活リズムや将来設計に合わせて、無理なく続けられる形を探してみてください。
🌸 訪問介護パートという働き方を知る
🌸 訪問介護パート×副業で働く方法はこちら

介護の仕事は、人の生活を支えるだけでなく、働く人自身の“生き方”にも寄り添ってくれる仕事です。
家庭や生活を大切にしながら、あなたらしい働き方を見つけてください。