訪問介護の仕事に興味はあるけれど、
「でも大変そう…」「自分にできるかな…」と不安に思っていませんか?
訪問介護はやりがいや社会貢献度が高く、おすすめできる仕事です。
とはいえ、誰にでも向いているとは言えない現実の大変さもあります。
この記事では、訪問介護の現場で20年以上働いてきた私が、
実際に「きつい」と感じること7つをご紹介します。
これから訪問介護の仕事を考えている方が、
「自分に合っているかどうか」を判断する材料になればうれしいです。
1. 身体介護で体を痛めるリスクがある
訪問介護では、介護施設のように次から次へと複数の利用者を連続して対応することはありません。
それでも、排泄介助や入浴介助といった身体介護を行う場面はあります。
高齢者の体は思っている以上に重く、歩行を支えたり、車椅子やベッドへの移乗を補助したりするだけでも、かなりの負荷がかかります。
特に、麻痺があったり関節が固まっている方の場合は、オムツ交換や更衣介助に思うように動けず、自分の姿勢が悪いと腰などを痛めやすくなります。
少ない件数でも油断せず、体の使い方には気を配る必要があります。

私は、自分の体の使い方を工夫することでうまく負担を軽減しています。
体の使い方が雑になると腰を痛めるので注意しています。
介護技術の研修もありますし、腰痛予防のコルセットを使うのも有効なようです。
2. 精神的なプレッシャーがある
訪問介護は、基本的にご利用者様と1対1で向き合う仕事です。
しかも、お相手は高齢であったり、持病があったりと、体調面でも不安定な方が多いため、細やかな配慮が求められます。
一つの体調変化が命に関わる場合もあるため、感染症などをうつさないよう、常に注意が必要です。
手洗い・うがい・マスク着用といった基本的な感染対策は欠かせません。
また、持病によっては対応の仕方が変わることもあります。
例えば「水分補給」は基本的には重要なケアですが、心不全などで水分摂取に制限があるケースも。病気の理解や情報共有が欠かせません。
気を遣う場面は多いですが、それだけに慎重な対応力が養われる仕事でもあります。

コロナ時に、感染症のことをよく理解して対策をしました。
「どういうふうに感染するのか」、「何を防げば良いのか」、
事前に知識を得て、できる対策をすることで不安を軽減することが出来ますよ!
3. 人間関係の難しさ
訪問介護は、ご利用者様と1対1で深く関わる仕事です。
そのため、どうしても「相性」の問題が出てくることがあります。
ある程度は相手に合わせられても、関係性がうまく築けない場合は、精神的な負担が大きくなりがちです。
また、関係性が良すぎて距離が近くなりすぎるのも注意が必要です。
過度な馴れ合いや依存関係は、のちのトラブルの原因になってしまうこともあります。
相手に合わせる柔軟性と、適度な距離感を保つバランス感覚。
この2つを意識することで、人間関係によるストレスはだいぶ軽減されていきます。

確かに、トラブルにぶち当たることで人間関係のバランス感覚が養われていった面はあると思います。
ただ、そもそも苦しく働き続ける必要はないので、
うまくいかない場合は事業所に相談して他のお宅を担当させてもらうのがいいと思います!
4. 緊急時の対応への不安・責任感
訪問介護の現場では、ご利用者様の体調が急変する場面に遭遇することもあります。
なかには、インターホンの応答がなく、お部屋で倒れていた、あるいは亡くなっていた…といった事例もゼロではありません。
そうした緊急時に「自分はどう対応すればいいのか」と不安を感じる方も多いと思います。
命に関わるかもしれない状況に居合わせるというのは、やはり大きなプレッシャーです。
ただ、介護職にできることは限られています。
現場で慌てず状況を確認し、必要であればすぐに医療機関へ連絡するか、責任者やケアマネジャーに報告するのが基本の流れです。
不安があるのは当然ですが、事前に「もしも」の状況を想定しておくことで、いざという時の焦りを軽減することができます。

焦ってしまいますが、事前に想定しておいて落ち着いて行動しましょう。
5. 天候の影響を受けやすい
訪問介護では、ご利用者様のお宅まで自転車で移動することも多いと思います。
そうなると、天候の影響を大きく受けることになります。
雨風、雪、強い日差し、寒さ、暑さ…。
天気が悪い日の移動は、体力的にも精神的にもなかなか大変です。
特に、距離のある訪問先が続く日は負担が大きく感じられることもあります。
とはいえ、晴れた日や気候の良い季節には、外の空気を感じながら移動できる気持ち良さもあります。
天候の影響はあるものの、それをうまく付き合えると快適に働ける一面もあります。

冷暖房完備も良いですが、
自然に触れるというのもなかなか良いですよね!笑
6. 仕事内容の幅が広く、臨機応変な対応が求められる
訪問介護では、さまざまなご家庭を訪問することになります。
そこにはそれぞれの生活習慣や価値観があり、一つとして同じ現場はありません。
そのため、完全にマニュアル通りに仕事をこなすというわけにはいかず、状況に応じた臨機応変な対応が求められます。
たとえば掃除ひとつとっても、「どの程度まで綺麗にしたいか」や「重点的に掃除してほしい箇所」は人によって違います。
身体介護にしても、ご利用者様の体格や筋力、関節の柔軟性などは千差万別です。
同じ動作であっても、いつも同じやり方で出来るとも限りません。
さらに、価値観の違いはもっと繊細です。
「こうしてほしい」「これはしないでほしい」という気持ちは、その人の生活歴やこだわりに根ざしているものなので、簡単に変えることもできません。
そうした違いを受け止めつつ、自分にできる範囲で調整していく力が必要です。
そこに難しさはありますが、同時にさまざまな暮らしや人生に触れられる面白さでもあります。

やっぱり聞いてみないと分からないことも多いので、
確認できることであれば、その都度確認しながら進めると良いですね!
7. 給料が高収入にはならない
訪問介護の収入は、国が定める「介護報酬」に基づいています。
つまり、サービスの対価はあらかじめ決められていて、自由に単価を上げることはできません。
介護報酬が上がれば給料も上がる可能性はありますが、現実には高齢化に伴う社会保障費の増大が課題となっており、報酬の大幅な引き上げは難しいのが現状です。
訪問介護の仕事は、ただの家事代行やお世話ではありません。
専門的な知識や技術が求められ、利用者一人ひとりに合わせて柔軟に対応する力も必要です。
決して「誰でもできる仕事」ではなく、高齢者の生活を支える大切なインフラの一つです。
そのため、こうした仕事がもっと評価され、報酬もそれに見合ったものになることを切に願っています。

収入を上げる工夫はいくつかありますが、根本的な単価が上がって欲しいところです。
訪問介護は良い仕事だと思うので、その中で賢く働いていくのが良いのではないでしょうか。
まとめ:きついこともある、でもやっぱりやりがいがある
訪問介護の仕事には、実際に働く前に知っておきたい「きつい」と感じるポイントがいくつかあります。
💡 訪問介護で「きつい」と感じやすいこと7選
- 身体介護で体を痛めるリスクがある
- 精神的なプレッシャーがある
- 人間関係の難しさ
- 緊急時の対応への不安・責任感
- 天候の影響を受けやすい
- 仕事内容の幅が広く、臨機応変な対応が求められる
- 給料が高収入にはならない
これらは、実際に働いてみて「想像と違った」とギャップを感じるポイントでもあります。
ですが、それでも私がこの仕事を20年以上続けているのは、「やりがい」がそれ以上にあるからです。
🌟 やりがいを感じる瞬間も多い仕事です
訪問介護では、ご利用者の困りごとを直接サポートする分、感謝される機会がとても多くあります。
「ありがとう」の言葉をいただけると、それまでの大変さが和らぎ、自分の存在が人の役に立っていると実感できる――
これは他の仕事ではなかなか得られない、訪問介護ならではの魅力です。
決して楽な仕事ではありませんが、特別な資格や経験がなくても「誰かの役に立てる」「感謝される」実感が得られる、貴重な仕事でもあります。
もし「やってみたい」という気持ちがあるならば、少しずつでも関わってみる価値はあると思います。
この記事が、訪問介護の仕事を知るきっかけになれば幸いです。