訪問介護の仕事って、なんだか大変そう…
💦一人で知らないお宅に行って、介助や家事をこなすなんて不安…。
💦体力的にきつそうだし、気をつかう場面も多そう…。
💦何かあったときにすべて自分の責任になるのでは…?
そんなふうに感じて、最初の一歩が踏み出せない方も多いかもしれません。
もちろん、簡単な仕事ではありません。
でも実は——向いている人にとっては、思ったよりずっと心地よく働ける仕事でもあるんです。
訪問介護パートとして働き始めてから約20年。
今では事業所を運営しながら、現場にも関わり続けている私が感じた、
“実はアリ!”と思えた訪問介護パートの7つのメリットをご紹介します。
【メリット①】向いている人には「そこまで辛くない」
介護の仕事は「きつくて大変」というイメージが強くないでしょうか?
実際、こんな点がよく語られます。
- 身体的負担が大きい(利用者を抱える、おむつ交換、早朝・夜間勤務など)
- 精神的なストレスが多い(認知症への対応、クレーム、職場の人間関係)
- 人手不足で多忙(一人当たりの仕事が多く、休みも取りにくい)
- 賃金や待遇面で不満がある(責任の重さに対して報酬が低い)
確かにこれらの要素は、働き方によっては感じられると思います。
ですが私は、訪問介護の「パート」という形で現場に関わってきた中で、これらのデメリットをそれほど感じずに続けることができました。おそらく、自分の性格やペース、仕事への向き合い方がこの働き方に合っていたのだと思います。
特に訪問介護のパート(ホームヘルパー)は、そういったデメリットをコントロールしやすい働き方だと思っています。
では、どんな人がヘルパーという仕事に向いているのでしょうか?
私がこれまで現場で多くの利用者さんと接する中で感じたのは、
「相手の気持ちに気づける人」です。
ストレスの多くは人間関係かと思いますが、相手が怒ってしまう原因の多くは「気持ちが無視される」ことではないでしょうか。特別何かをするというわけではなく、相手の気持ちにちょっと気づいているだけで無用なトラブルは避けられる気がします。
ホテルマンのような最上級のおもてなしをすることが、介護サービスとしても良いとは限らないと思っています。相手を尊重しながら「普通」にしていることが、お互いに気楽で良いのではないかと感じています。
私自身、20代でこの仕事を始めた頃は「孫のような存在」という感じでずいぶん大目に見て頂いていたと思いますが、
語弊を恐れずに言えば、「親戚の家に遊びに行くような感覚」で伺うことも少なくありませんでした。
もちろん慎重な対応が求められる状況の現場もありますが、そこはしっかり会社のサポートもあるので、あまり仕事で苦しむことなく働いてこられました。
少し、相手の気持ちに気づけてうまくバランスが取れるならヘルパーさんの仕事はさほど辛くないと感じられると思います。

ご利用者さまとの関わりが仕事のメインなので、
そこがうまくいけば働きやすさはグッと上がりますね!
とはいえ、ご利用者様もいろいろですし、相性の問題もあります。
正直、向いていないと思っていた人の方が、うまくやれてしまうこともあります。
結局のところ、本当に向いているかどうかは、やってみないと分からない部分もあります。
でも、「ちょっとやってみたいかも」と感じたなら、それが最初の一歩になるかもしれません。
気軽にチャレンジしてみてくださいね。
【メリット②】人間関係に疲れにくい「単独行動」
訪問介護のパート(ホームヘルパー)の大きな魅力のひとつが、「基本的に単独行動で働ける」ことです。
一人でお宅を訪問し、サービスを行う時間は、自分のペースで動ける分とても気楽で、人間関係に悩まされることがほとんどありません。
私はこの仕事を20年近く続けていますが、精神的にとても快適で、無理なく続けられている理由の一つだと感じています。
もちろん、一人で行動するといっても孤立しているわけではありません。
ケアマネジャーさんをはじめ、看護師さんや他のヘルパーさんたちとチームで情報共有をしながらケアを行っています。
初めての訪問時は責任者が同行してくれますし、困ったことがあればすぐに報告・相談できる体制も整っています。
そもそも、介護職の退職理由の上位には「人間関係のストレス」が挙げられます。
職場の雰囲気やコミュニケーションに悩まされる方も多い中、訪問介護の働き方はその点で非常にストレスが少ないと感じられるかもしれません。
「人と関わる仕事はしたいけれど、職場の人間関係で疲れるのは避けたい」
そんな方には、訪問介護という選択肢はとても合っていると思います。

無用なストレスは自分でコントロールしてしまいましょう!
【メリット③】サクサク動けて意外と疲れにくい
介護の仕事は「体力勝負」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
たしかに、施設などでの介護は、
- ご利用者の移乗や体位変換、入浴介助、おむつ交換などの身体介護
- 長時間の立ち仕事や歩き回ることでの足腰への負担
- 夜勤を含む不規則な勤務による疲労の蓄積
など、身体にかかる負担も少なくありません。
その点、訪問介護のパート(ホームヘルパー)は、意外なほど体への負担が少ない働き方です。
1軒あたりの訪問時間は20〜90分ほどで、30分や60分のサービスが中心。
短時間でお宅を移動しながら働くので、同じ作業を長時間続けることがなく、気持ちも切り替えやすく、疲れが溜まりにくいと感じる方が多いのではないでしょうか。
また、パートであれば1日に何件回るかも自分で決められるので、仕事量を自分の体力や都合に合わせて調整できます。
身体介護の中には、確かに体への負担がある動きも含まれますが、コツを掴めば無理なく対応できますし、難しい場合は負担の少ない介助の訪問先にシフトすることも可能です。
訪問介護では、腰を痛めるような無理な動作を避ける工夫や、負担の少ないやり方を教えてもらえる環境もあります。
さらに、夜勤のある施設とは異なり、訪問介護では夜間のサービスを提供していなければ夜勤は基本的にありません。
「●曜日の●時はこのお宅」という形で予定が組まれているため、スケジュールが規則的で生活リズムも安定しやすいです。
体力に不安があって介護の仕事をためらっている方でも、訪問介護なら働き方次第で無理なく長く続けられる可能性があります。
「疲れにくく、でも人の役に立てる仕事がしたい」
そんな方には、訪問介護という選択肢はとても相性がいいかもしれません。

軽快に働けるのは大きな魅力です!
【メリット④】「助ける」仕事だから、心にわだかまりが残らない
仕事の中には、「本当にこれが人の役に立っているのだろうか」と、モヤモヤを感じることもあります。
たとえば私は、以前に外壁塗装の飛び込み営業をしていたことがあります。
自分でも「これは本当に必要なものなのか?」と疑問を持ちながら売り込んでいたため、まったく成果が出ませんでした。
たまに売れるときもありましたが、「相手にとって本当に良かったのか?」と、心に引っかかる感覚が残りました。
その仕事をしていた時期は、精神的にもなかなか苦しいものでした。
その点、介護の仕事では、そうしたわだかまりを感じることがほとんどありません。
困っている方のところに「助けてほしい」と依頼されて訪問する。
つまりこちらが“売り込む”のではなく、必要とされている場面に“応える”という形です。
この「求められている実感」「手を差し伸べる自然さ」が、心の中をとても軽くしてくれました。
やりがいや感謝も感じやすく、仕事としてのストレスが少ないのです。
「売ることに疲れてしまった」「人の役に立ちたいけど、向いていないのかも」と悩んでいる人にとって、
訪問介護の仕事は、心の負担が少ない選択肢になり得ると思います。
自分のしていることが、そのまま誰かの助けになっている。
それだけで、働く気持ちがまったく違ってくることもあります。

わだかまりがないと、すっきり気持ちよく働けます!
【メリット⑤】出会いが面白い!普段関わらない人との時間
訪問介護の魅力の一つは、普段の生活ではなかなか出会えない方々と、じかに関わることができる点です。
1日に何件かのお宅を訪問するのですが、そこに暮らしているのは、それぞれに人生を歩んできた方たちです。
年齢は50代から100歳以上までと幅広く、性格や経歴もまったく違います。
どの方もそれぞれの「物語」を持っていて、どんなお話でも興味深く感じます。
中には、「こんな人がいるのか!」と驚かされるような方や、
「この方の話を直接聞けて本当に良かった」と思える出会いもありました。
特に思うのは、実際に会ってみないと感じられないものがある、ということです。
まとっている雰囲気、ちょっとした言葉の選び方、状況がよくない時にどう振る舞うのか……
そうしたものを間近で感じられるのは、訪問介護の仕事ならではかもしれません。
振り返ってみると、「この方にお会いできて良かった」と心から思える方がたくさんいます。
その体験は、自分の中に宝物として蓄積されています。
人との出会いが好きな人や、いろんな世界を見てみたい人にとって、
訪問介護はとても面白い仕事だと思います。

実際に会ってみないと感じられないもの、
それが貴重なんです!
【メリット⑥】介護の“全体像”がなんとなくつかめる
ふだんの生活で、介護に触れる機会はほとんどありません。
親など身近な人の介護に直面するまでは、「自分にはまだ関係ない」と感じるのが自然だと思います。
介護といえば、「下の世話」や「認知症」といったイメージが先に立ち、
なんとなく避けたい、できれば関わりたくない世界に思えてしまうこともあるでしょう。
けれど、人はみな老いていきます。
それは、特別な誰かだけに起きることではなく、自分や家族、誰にとっても避けられない道です。
「生まれる」という歓びと、「老いる」という寂しさ。
両方ともに触れる方が人間的で良いのではないか、と私は思っています。
訪問介護の仕事をしていると、さまざまな「老い」に出会います。
それは、気力、体力のカーブだったり、
いろいろな病気の進行具合だったり、
それぞれの家庭のありようだったり
さまざまな介護サービスや暮らす場所のことだったり・・・。
訪問介護の仕事を続けることで、そうした「老いのリアル」を少しずつ目撃していくような感覚があります。
私は、
その人が最期を迎えたときに、介護に関わった皆が、完璧とはいかないまでも「まあまあ良かったよね」という気持ちに着地できたらいいなと思っています。
ご本人、ご家族にとって納得感のある介護になればいいなと思っています。

いろいろな方とお別れもしてきました。
人の最期には、深い学びがあると感じています。
【メリット⑦】仕事がなくならない安心感
日本は、すでに世界でも有数の超高齢社会に突入しています。
2025年には、いわゆる「団塊の世代」が全員75歳以上となり、2040年ごろには要介護の高齢者数がピークを迎えるとされています。
すでに介護の現場では人手が足りておらず、サービスの依頼を断らざるを得ない状況も珍しくありません。今後もこの傾向は続き、介護のニーズはますます高まっていくでしょう。
その一方で、働く側にとっては、これは大きな安心材料でもあります。
介護職は、どの地域でも常に必要とされており、経験を積んでいれば「辞めてもすぐに働ける」「自分に合った働き方を選びやすい」といったメリットがあります。言い換えれば、仕事に困りにくい、ということです。
さらに、介護の仕事で身につく知識や経験は、別の職場に移ってもすぐに活かせるものばかりです。
ご利用者との接し方、身体の動かし方、認知症への理解、服薬や医療の基礎知識などは、どの介護現場でも求められるスキルであり、一定の経験があれば転職もしやすくなります。
また、これらは仕事に限らず、将来、自分の親や家族の介護に直面したときにも役立つため、「暮らしに根ざしたスキル」としても強みになります。

介護のスキルは、一度身につければ一生もの!
働きながら、自分の人生にも役立ってくるんです。
まとめ
訪問介護のパートという働き方には、多くのメリットがあります。
人間関係のストレスを避けやすく、自分のペースで働けるうえに、やりがいも感じやすい仕事です。
条件が合えば、無理なく続けられて、人生にプラスの影響を与えてくれる働き方になるでしょう。
自分に合ったスタイルで、訪問介護の仕事をうまく取り入れ、理想の生活や豊かな人生づくりに役立てていただけたらと思います。

自分のためでもあり、誰かのためにもなりますね!