訪問介護の仕事に興味があるけれど、「資格がないとダメ?」「どうやって取ればいいの?」と迷っていませんか?
本記事では、訪問介護で必要となる「介護職員初任者研修」について、費用や取得期間、具体的な取得方法まで詳しく解説します。
結論から言えば、現在は公共の支援制度が非常に充実しており、「介護職員初任者研修」は無料または少ない費用負担で取得しやすい資格となっています。
取得方法によって、スケジュールの柔軟さや経済的なメリット、就業の条件などに違いがありますが、自分に合った方法を選べば、無理なく介護の第一歩を踏み出すことができます。
訪問介護で働くには資格が必要?
訪問介護の仕事をするには、原則として「介護職員初任者研修」以上の資格が必要です。これは、身体介護はもちろん、掃除や買い物などの生活援助であっても、基本的に無資格では行えないという決まりがあるためです。
そのため、訪問介護の仕事を始めるには、まず初任者研修を修了することがスタートラインになります。
初任者研修を修了したあとは、ステップアップとして
→ 実務者研修
→ 介護福祉士
→ ケアマネジャー(介護支援専門員)
といったキャリアパスもあります。
これらは、サービス提供責任者になったり、より専門性の高い仕事に携わりたいときに必要になってくるものです。
まずは訪問介護の入門資格である初任者研修の取得を目指しましょう。

2013年に新規取得は廃止になりましたが、
お持ちであれば、ホームヘルパー1級、2級でも訪問介護の仕事はできますよ!
初任者研修の費用・取得期間・難易度
項目 | 内容 |
---|---|
費用 | 約3〜10万円(スクールによって幅あり)、または無料も |
期間 | 通学+通信で1ヶ月〜4ヶ月程度 |
難易度 | 落ちることはほぼないが、出席率とレポート提出が重要 |
修了試験 | 最終日に簡単な確認テスト(ほぼ全員合格) |
介護職員初任者研修は、訪問介護を始めるための入門資格です。取得にかかる費用や期間、難易度について、事前にイメージを持っておきましょう。
費用の目安
民間のスクールの場合、受講費用はおおよそ3万円〜10万円程度です。
これは受講するスクールや地域、キャンペーンの有無などによって大きく変わります。自治体の補助金や割引制度を利用できる場合もあります。
公共の支援制度を利用すれば、無料もしくは少ない費用負担で取得が可能です。
取得にかかる期間
初任者研修の受講期間はおおよそ1ヶ月〜4ヶ月程度で、合計130時間のカリキュラム(講義・実技演習)を修了します。
平日昼間の通学コースなら短期間で取得できますし、働きながら通いたい方向けに週末や夜間のコースもあります。自分の生活スタイルに合わせて選べるのが特徴です。
難易度は高くない?
試験はありますが、基本的にはしっかり受講すれば合格できる内容です。
講義や演習を通して基礎的な知識・技術を学び、最終日に筆記試験があります。特別に難しいものではなく、未経験の方でも取り組みやすい資格といえるでしょう。

「受講者を落とすため」のものではなく、
必要な知識や技術が身についているかを確認するためのものなんですね。
初任者研修の取得方法|費用や条件で選べる5つのパターン
介護職員初任者研修の取得方法はいくつかあり、費用負担や利用できる条件が変わってきます。
主な5つのパターンについて、メリット・デメリットと共に紹介していきます。
⚫︎初任者研修の取得方法比較一覧表⚫︎
制度名 | 費用 | スケジュールの柔軟性 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
① 民間スクールで自費取得 | 約3〜10万円 | ◎ | スケジュールの選択肢が豊富 | 費用負担がある |
② 東京都「初任者研修等資格取得支援事業」 | 無料 | ⚪︎ | 就労義務なく自由度高め | スケジュールの柔軟性は民間よりやや低い |
③ 東京都「訪問介護採用応援事業」 | 無料 | ⚪︎ | 給与を得ながら資格が取れる | 特定の訪問介護事業所と雇用契約を結ぶ必要がある |
④ 渋谷区「介護職員初任者研修受講料補助事業」 | 実質無料 | ◎ | 民間スクールの費用を補助してもらえる | 就労条件あり |
⑤ ハローワークの職業訓練制度 | 無料 | △ | 給付金を受け取りながら資格が取れる(条件あり) | スケジュールの柔軟性は低め |
◎:非常に柔軟(多数のコース・日程から選べる)
○:ある程度選べる
△:選択肢が少ない/固定されている
①民間スクールで自費取得
初任者研修を開講している民間スクールや専門学校、福祉関連団体などから自分に合った講座を選び、申し込みます。
費用負担は3〜10万円とスクールによって幅があります。
週に何回通うかなどを選択できるのでスケジュール調整がしやすい点が魅力です。
取得方法は「通学講座」と「通信講座(自宅学習+スクーリング)」の2種類があります。
- 通学講座:すべての授業を教室で受ける方法。最短で取得したい人や対面で学びたい人向け。
- 通信講座:一部を自宅学習(最大40.5時間)、残りを通学(実技・演習)で学ぶ方法。仕事や家庭と両立しやすい。
どちらの場合も、実技演習など一部は必ず通学が必要です(独学のみでは取得できません)。
メリット✨
- 最短1ヶ月で取得可能
- 土日・夜間コースなどのほかにも、日程・スケジュールの選択肢が非常に豊富で、個々の事情に合わせやすい
- 振替受講もでき、学びやすい
- 就職サポートが充実しているスクールも多い
- 割引・キャンペーンを活用できる場合がある
デメリット💦
- 受講料は3万~10万円程度と、費用負担あり
- スクールごとの質やサポートに差がある

自費での取得は、「早く取りたい」「自分のペースで学びたい」という方におすすめです。
費用が気になる方は、キャンペーンの活用や複数スクールの比較をしっかり行いましょう。
②自治体の資格取得支援事業 〜東京都「初任者研修等資格取得支援事業」〜
都道府県や市区町村では、介護資格の取得を支援する「資格取得支援事業」を実施していることがあります。受講料の全額または一部が補助されることが多く、費用を抑えて資格を取得したい方におすすめです。
ここでは一例として、東京都渋谷区で「初任者研修」を取得する場合の制度をご紹介します。
🟦 東京都「初任者研修等資格取得支援事業」とは?
都内で高齢者介護業務への就労を希望する人を対象に、介護職員初任者研修などが無料で受講できる制度です。
- 「都内で介護職に就きたい」という就労意思があることが条件ですが、必ず就職しなければならないという義務はありません。そのため、柔軟に利用できる点が魅力です。
- 日程の選択肢が比較的豊富で、平日コース・土日コース・夏休み集中コースなどさまざまなスケジュールがあります。
- 通学型・通信型(自宅学習+スクーリング)の両方が用意されているため、ライフスタイルに合わせて選べます。
メリット✨
- 民間スクールほどではないが、日程の選択肢が比較的豊富
- 無料で取得できる(条件を満たせば受講料全額補助)
- 就労義務がないため、比較的自由度が高い
デメリット💦
- 民間スクールに比べると、スケジュールの柔軟性はやや低め
- 募集期間や人数に制限がある場合があり、常に申し込めるとは限らない

この支援制度は「無料で初任者研修を取得したいけれど、就職の縛りが強いのはちょっと…」
という方にとって、バランスの取れた選択肢になります。
③自治体の資格取得支援事業 〜東京都「訪問介護採用応援事業」〜
🟦東京都「訪問介護採用応援事業」とは?
訪問介護分野で働きたい無資格者や未経験者を対象に、訪問介護事業所で有期雇用契約(最長6か月)を結び、働きながら介護職員初任者研修などの資格を取得できるよう支援する制度です。
最大の特徴は、「給与を得ながら現場経験と資格取得を同時に進められる」という点で、研修受講中も給与が支払われます。
資格取得までは、主に以下の業務を担当します。
- 先輩ヘルパーへの同行・補助・見学
- 事業所内の補助業務
- 研修受講
メリット✨
- 無料で資格取得が可能で、研修期間中も給与が支給される
- 民間スクールほどではないが、日程の選択肢が比較的豊富
- 資格取得と同時に、実際の現場を経験できる
デメリット💦
- 訪問介護事業所と最大6か月の有期雇用契約を結ぶ必要がある。
- 民間スクールに比べると、スケジュールの柔軟性はやや低め

この制度は、無収入の期間を作らずに資格取得を目指したい方や、実際に介護の仕事を体験しながら資格の勉強を進めたい方にとって非常に魅力的です。
ただし、特定の事業所と契約する形になるため、働く場所や勤務条件にある程度の制約があることは事前に理解しておくとよいでしょう。
④自治体の資格取得支援事業 〜渋谷区「介護職員初任者研修受講料補助事業」〜
🟦渋谷区「介護職員初任者研修受講料補助事業」とは?
この制度は、介護人材の確保を目的に、一定の条件を満たした方を対象として、最大70,000円まで受講料を補助してくれる制度です。
対象となるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 民間のスクールなどで介護職員初任者研修を自費で受講・修了していること
- 渋谷区内の介護事業所に6か月以内に就職すること
- 3か月以上継続勤務し、申請時にも在職していること
メリット✨
- 最大7万円の補助により、実質自己負担なしで資格取得が可能
- 民間スクールを利用できるため、通学・通信・日程などの選択肢が豊富
- 就職先は自分で選べるため、勤務地や職場環境にこだわれる
デメリット💦
- 渋谷区内の介護事業所に6か月以内に就職する必要がある
- 3か月以上継続勤務しないと補助を受けられない

この制度は、民間スクールの柔軟なスケジュールで学びつつ、補助金で実質無料にできる非常にバランスの取れた支援制度です。
就労先を自分で選べるという自由度の高さもあり、「できるだけ自分のペースで資格取得を進めたい」「職場の選択肢を狭めたくない」という方にはとてもおすすめです。
⑤ハローワークの職業訓練制度
🟦ハローワークの職業訓練制度とは?
この制度は、求職中の方が就職に必要なスキルや資格を無料で身につけられる公的支援制度です。
雇用保険の受給資格の有無に応じて、
- 雇用保険受給者向けの「公共職業訓練」
- 受給資格がない方向けの「求職者支援訓練」
という2つの形があります。
どちらの場合も、一定の条件を満たせば、受講料が無料になるだけでなく、
- 職業訓練受講給付金(月10万円+交通費)
- 失業手当
といった生活支援を受けながら学ぶことも可能です。
メリット✨
- 受講料が原則無料
- 条件を満たせば、給付金(月10万円+交通費)や失業手当も受け取れる
- ハローワークの就職支援や求人紹介も併せて受けられる
デメリット💦
- 訓練期間が3か月前後とやや長め
- 開講時期が限られ、希望のタイミングに受講できないこともある
- 定員制・選考ありで、申し込んでも受講できない場合がある
- 土日・夜間コースはほとんどなく、働きながらの受講は困難

ケジュール調整がやや難しく、時間的な余裕がある方向けではありますが、
経済的負担を大きく抑えられる点は非常に魅力的です。
「時間が取れる今のうちに資格を取りたい」「生活費の不安を抑えて学びたい」という方にはとても有効な選択肢です。
まとめ:制度が充実しており、無料で取得しやすい
訪問介護で働くために必要な「介護職員初任者研修」は、公共の支援制度が充実しており、費用面でもスケジュール面でも取得しやすい資格です。
取得方法には複数の選択肢があり、それぞれに特徴があります。講習の柔軟さ、経済的なメリット、制約の有無などを比較し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
また、支援制度の内容は自治体によって異なるため、お住まいの地域の制度を事前にしっかり確認しておくと安心です。
たとえば、東京都渋谷区で初任者研修を取得する場合は、以下のような基準で選ぶとわかりやすいでしょう:
- 早く取得したい/働きながら通いたい
→ 民間スクールで取得+渋谷区「介護職員初任者研修受講料補助事業」を活用 - 無収入の期間を作らずに資格を取りたい
→ 東京都「訪問介護採用応援事業」または ハローワークの職業訓練制度 - 現場経験も積みながら学びたい
→ 東京都「訪問介護採用応援事業」 - 就職の義務や制約が少ない制度がいい
→ 東京都「初任者研修等資格取得支援事業」

自分の現在の状況と、将来どのように介護の仕事を続けていきたいかを考えながら、
最適な取得方法を選びましょう!