訪問介護のパートに興味があるけれど、
「実際どのくらい稼げるの?」と気になっていませんか?
この記事では、現役の訪問介護職員で訪問介護事業所を経営している私が、実際の時給や手当、働き方による月収例まで、リアルな収入事情を詳しくお伝えします。
訪問介護パートの給与体系とは?
訪問介護パートのお給料は、「時給制+手当」で成り立っていますが、事業所によってルールや金額の差があるのが実情です。
ただし、基本的な仕組みはどこもほぼ共通しています。
以下のような要素で収入が構成されることが一般的です。
- 時給単価(身体介護・生活援助・早朝・夜間など)
- 各種手当(処遇改善手当・資格手当・移動手当など)
- 交通費の支給
- その他の補填(キャンセル手当、有給休暇など)
また、都市部の方が時給が高い傾向があるのも特徴のひとつです。
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
時給単価(身体介護・生活援助・早朝・夜間など)について
訪問介護のパート時給は、主に以下のように分かれています。
- 身体介護:1時間あたり 1,600円〜2,000円
食事介助、排泄介助、入浴介助など身体に直接関わるケアです。
生活援助より専門性が高く、時給も高めに設定されています。 - 生活援助:1時間あたり 1,200円〜1,400円
掃除、洗濯、買い物、調理などの日常生活の支援が中心です。
加えて、次のような割増賃金が支給されることも多くあります。
- 土日祝の訪問:+100円〜300円(1回あたり or 1時間あたり)
- 早朝(6:00〜8:00)・夜間(18:00〜22:00):時給の25%割増

割増の条件や金額は事業所によって異なりますが、
うまく組み合わせると高時給になることもありますよ!
各種手当(資格手当、処遇改善手当、移動手当など)について
訪問介護パートでは、時給以外にもさまざまな手当が支給されることがあります。主なものを紹介します。
■ 資格手当
- 支給対象:介護福祉士などの有資格者
- 支給額の例:
- 月額で 3,000円前後
- または 時給+50円程度 - ※資格手当の有無や金額は、事業所により異なります。
■ 処遇改善手当(処遇改善加算)
- 概要:国から事業所に支給される「処遇改善加算」を、職員に分配したもの。
- 支給方法の例:
- 時給に含まれている
- 毎月の手当として支給
- ボーナス(賞与)として年数回支給
- 勤続年数に応じた昇給の形で反映 - おおよその増加割合:基本給の 約2〜2.5% 増し程度
- ※支給形式は事業所によって大きく異なりますので、要確認。
■ 移動手当
- 対象:訪問先と訪問先の間を移動した時間・距離に対して支給
- 支給額の例:
- 1訪問ごとに 200〜400円程度
- または 移動時間分の時給を支給 - ※中には「移動手当を設けず、時給を高めに設定」している事業所もあります。
- ※この記事では、主に東京都心部・自転車移動を前提としたモデルをご紹介しています。
地方の事業所では車移動が主となり、移動手当やガソリン代の支給など異なる点があります。

手当として支給されなくても、時給に含まれていたり、
条件付きで支給されたりと、事業所によって支給の仕方は様々です。
お給料の総額で比べてみるのが良いですね!
交通費の支給について
訪問介護のパート勤務では、ご自宅から最初の訪問先、または最後の訪問先から自宅への通勤にかかる交通費が支給されることがあります。
ただし、交通費の支給方法や上限は事業所によって大きく異なるため、事前の確認が必要です。
■ よくある支給パターン
- 実費支給(上限あり)
例:1日500円まで/月上限10,000円など - 1日あたりの定額支給
例:1日一律300円など - 交通費なし(時給に上乗せしている)
→ 通勤費を含めた給与設計をしている事業所もあります。

私の事業所(東京都心・自転車移動)では、公共交通機関を使う方には実費で交通費が支給され、自転車通勤の方には交通費の支給はありません(移動手当は別途支給されています)。
通勤にかかるコストは、地域や移動手段によって大きく異なるので、応募時に確認しておくと安心です。
その他の補填(キャンセル手当、有給休暇など)
■キャンセル手当について
利用者側の都合や体調不良などで、当日キャンセルになることも少なくありません。
キャンセル時の対応例:
- 当日キャンセルで全額保証(1時間分の時給を支給)
- 一部保証(例えば半額支給など)
- 直前キャンセルのみ対象(2時間以内など)
事業所によって差があるため、キャンセル手当の有無と条件は要チェックです。

私の事業所では、当日にキャンセルになった場合は、
理由を問わず一律1,000円を支給しています。
■有給休暇について
パート勤務でも、週の所定労働日数に応じて有給休暇は法的に付与されます。
例えば:
- 週3日勤務 → 年間5日〜7日程度
- 取得は原則事前申請が必要(急病などは例外あり)
事業所によっては「有給取得を促進する」制度が整っているところもあり、働きやすさに関わるポイントの一つです。

事業所としては、お休みに加えて給与も支給するので大変なのですが、
法律に定められた「権利」ですので、活用してもらえればと思います!
このように、交通費やキャンセル手当、有給などは「時給」以外の大事な補填ポイントです。
きちんと制度が整っているかどうかで、同じ勤務時間でも実質的な収入や働きやすさが大きく変わってきます。

私の事業所の場合は、時給単価は介護報酬の単位数に連動させています。
60分の訪問の場合の単価と給与体系は次のようになっています。
- 時給単価(身体介護・生活援助・早朝・夜間など)
→身体介護60分 2,100円
→生活援助60分 1,150円
→土曜・祝日(+100円)、日曜(+300円)
→早朝・夜間 25%割増 - 各種手当(処遇改善手当・資格手当・移動手当など)
→処遇改善手当 時給単価の7%程度
→資格手当 介護福祉士 +1,000円
→移動手当 1件につき100円
→勤続手当 〜3年目(時給単価の+3%)、4〜6年目(+6%)、7年目〜(+9%) - 交通費の支給
→実費支給 - その他の補填(キャンセル手当、有給休暇など)
→当日キャンセル 1,000円支給
→有給休暇 有り
月収モデル3パターン試算
次に、具体的に月収がいくらになるのか、3つのモデルケースに、私の事業所の給与体系を当てはめて試算していきたいと思います。
※東京都心部、自転車移動の場合です。
※表示金額は「手当込みの支給額の目安」です。
※実際の給与体系(時給計算/件数単位など)は事業所により異なります。
注意点として、訪問先のご利用者様が、用事や体調不良などでお仕事がキャンセルになったり、施設入所や入院などの理由でお仕事が終了になるなどにより、収入額は変動する場合があります。
💰 月収モデル試算【まとめ】
モデル | 働き方の特徴 | 総支給額 | 控除後手取り |
---|---|---|---|
モデルA | 週2日・午前中のみ・平日のみ | 約34,200円 | 約34,200円(控除なし) |
モデルB | 週4日・午後〜夜間・土日含む | 約106,250円 | 約105,530円(所得税控除あり) |
モデルC | 週5日・日中しっかり・平日のみ | 約216,300万円 | 約179,100万円(社保・雇保・所得税控除後) |

それぞれのモデルを詳しく見ていきましょう!
【モデルA】週2日、1日2件(午前中のみ、平日のみ)
「午前中だけ少し働きたい」という方向けのゆるやかモデル。
🕒 スケジュール例
- 9:00〜10:00 身体介護(排泄介助、更衣介助) → 2,400円
- 10:30〜11:30 生活援助(買物代行、掃除) → 1,400円
💰 1日合計:3,800円
📆 月に9日勤務として
総支給額:3,800円 × 9日 = 34,200円(控除なし)

少しだけ収入を得たい方や、子育て、介護中の方、
社会とのつながりを持って健康を保ちたい、という方にも!
【モデルB】週4日、1日3件(午後から夕方まで、土日含む)
午後〜夕方にかけて働きたい方、割増のある土日や夜間も含む効率重視モデル。
🕒 スケジュール例
- 15:30〜16:30 生活援助(洗濯、買物代行) → 1,400円
- 17:00〜17:30 身体介護(排泄介助)30分 → 1,500円
- 18:00〜19:00 身体介護(入浴介助)夜間 → 2,950円(夜間割増)
💰 平日:5,850円/日 × 9日 = 52,650円
💰 土曜:6,150円/日 × 4日 = 24,600円
(100円×3件の土曜割増)
💰 日曜:6,750円/日 × 4日 = 27,000円
(300円×3件の日曜割増)
総支給額:約106,250円
- 所得税概算:約720円
→ 手取り:105,530円

土日や、夜間の割増をうまく組み合わせると効率よく稼ぐことができますよ!
副業と両立したい方、夢を追っている方の働き方としてもおすすめです。
【モデルC】週5日、1日6件(日中しっかり、平日のみ)
しっかり働いて安定収入を得たい方向けのフルタイム型モデル。
社会保険・雇用保険の加入ラインを超えるケースです。
🕒 スケジュール例
- 8:30~9:00 身体介護(デイサービス送り出し)30分 → 1,500円
- 9:30~10:30 生活援助(掃除など)60分 → 1,400円
- 11:00~12:00 生活援助(洗濯など)60分 → 1,400円
- 13:00~14:00 身体生活(排泄介助、買物代行など)60分 → 1,800円
- 14:30~16:00 身体生活(入浴、掃除など)90分 → 2,700円
- 16:30~17:00 身体介護(排泄介助)30分 → 1,500円
💰 1日合計:10,300円
📆 月21日勤務として
基本報酬:
10,300円 × 21日 = 216,300円
居住支援特別手当(東京都):月20,000円
👉 東京都内で条件(月に80時間以上勤務する等)を満たす場合に支給される補助金。
総支給額:236,300円
🔻 控除目安(2025年現在)
項目 | 控除額(概算) |
---|---|
健康保険 | 約12,000円 |
厚生年金 | 約22,000円 |
雇用保険 | 約1,190円 |
所得税 | 約4,700円 |
控除合計 | 約39,890円 |
👉 手取り | 約196,410円 |

訪問介護の仕事が合うという方は、収入を伸ばして行くのもOK!
正社員として働いた場合の収入は?
正社員(常勤ヘルパー)として働く場合、
東京都心では月収23万〜31万円、年収にすると約300万〜400万円程度が目安となります。
これは、処遇改善手当や資格手当、居住支援特別手当などを含む額です(賞与込みで年収400万円を超える事業所もあります)。
収入的にはモデルCと大きく変わらないか、やや高い程度ですが、
- 安定した収入を得たい
- 雇用保険・社会保険をしっかりと備えたい
- キャリアアップを目指したい
といった目的がある方にとっては、正社員(常勤ヘルパー)という選択肢も検討の余地があるかもしれません。

確かに安定はするかもしれませんが、
個人的には、働き方の柔軟性が失われる、
というデメリットの方を強く感じてしまいます。
⚫︎サービス提供責任者(サ責)の場合
さらにキャリアアップとして「サービス提供責任者(サ責)」になると、
月収が3万〜5万円ほどアップするケースもあります。
勤務時間は長くなる傾向がありますが、役職手当や業務手当などが支給されるため、
安定して長く働きたい方には選択肢の一つです。

サービス提供責任者の業務は、直接のサービス以外の部分も全体的に見ていくことになるのでなかなか大変です。
その分、得られる経験も多く、より深く介護の仕事に関わりたい、という場合にはおすすめできます。
まとめ:働き方の柔軟性と収入のバランスで考えていく
訪問介護のパートとして働いた場合、どれくらいの収入になるのか──
この記事では、少しだけ働くパターンから、しっかり働くパターンまで、3つのモデルケースで試算してみました。
実際には、働く日数や時間帯はもっと柔軟に調整できるため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
夜間・休日の割増賃金や、東京都の「居住支援特別手当」などを活用すれば、効率よく収入を高めることもできます。
注意点として、訪問介護ではご利用者様の都合などにより、訪問のキャンセルが発生することもあり、月々の収入には多少の変動がある点も知っておくと安心です。
一方で、正社員として働くと毎月の給与は固定され、収入面では安定します。
また、サービス提供責任者などのキャリアステップもあり、幅広い経験を積みたい方には選択肢となり得るでしょう。
ただし、働き方の柔軟性が少なくなることや、他産業と比べて給与水準が高くない点には留意が必要です。
訪問介護のパートは、「自分らしく」「柔軟に」働きたい方にとって、収入とのバランスも取りやすく、おすすめできる働き方です。
もしこの仕事が自分に合っていると感じたら、安定やキャリアアップを求めて正社員という選択肢を考えてみるのもよいかもしれません。
この試算が、自分に合った働き方や収入バランスを考えるきっかけになれば嬉しく思います。