「訪問介護って楽しい!」──これは、私が20年以上この仕事を続けてきた率直な実感です。
ご利用者やご家族からの感謝に触れられるやりがい、自分自身の成長を感じられる瞬間、そしてライフスタイルに合わせて働きやすい柔軟さ。
続けてこられた理由は、まさにこうした楽しさにあると思います。
もちろん、訪問介護は楽しいことばかりではありません。
体力的・精神的な大変さや、収入が低めという課題も現実にあります。
ただ、それらも資格取得や副業などの工夫によって補うことが可能です。
この記事では、私が20年続けてきた経験をもとに、訪問介護の やりがい・メリット・向いている人の特徴 をまとめました。訪問介護の魅力を知りたい方、働き方を検討している方の参考になれば幸いです。
訪問介護のやりがいはどんなところ?

訪問介護は、ただの仕事ではなく「心に響くやりがい」があります。
今の世の中にはオンラインで完結する仕事もたくさんありますが、訪問介護は違います。
困っている方に直接手を差し伸べ、その方から「ありがとう」と言われたり、安心した笑顔を見られたときに、また頑張ろうと思える気持ちになります。
自分が役に立っているという実感
何よりも大きなやりがいを生むのは、「自分が確かに役に立っている」と実感できる瞬間です。
日常生活に困難を抱えるご利用者が、自分の支援で再び当たり前の暮らしを取り戻し、生活の質が良くなる──その体験は、何物にも代えがたい手応えがあります。

「自分が誰かの役に立てている」という実感は、自己肯定感を大きく高めてくれます。
【体験談】介護で『自分が役に立てた』と実感した瞬間
私がある認知症の女性をご利用者さんを訪問した時のことです。
更衣・排泄・食事のケアを担当しましたが、認知症が進んで意思疎通が難しく、特に食事介助は大きな課題でした。他のヘルパーさんが入ってもなかなかうまくいかず、私が対応することになったのです。
最初は私も苦労しましたが、試行錯誤を重ねるうちに少しずつコツを掴み、ケアが安定。食事もしっかり摂れるようになり、気持ちも穏やかに過ごせる時間が増えていきました。
以前は食べられず不安定だった方が、自分のケアによって生活の質が大きく改善した──その瞬間、「自分が役に立てた」と強く実感しました。
その後も数年間訪問を続け、生活を下支えできたことは大きなやりがいとなりました。
感謝の言葉を直接もらえる
訪問介護は基本的に 1対1でご利用者と向き合う ため、より密接な関わりが生まれます。その積み重ねによって自然と信頼関係が築かれ、安心して介護を任せてもらえる存在になっていきます。
ご利用者やご家族から「ありがとう」「あなたがいて安心」といった感謝を直接受け取ることができる点は、訪問介護ならではの大きなやりがいです。

「ありがとう」と感謝してもらえることは、想像以上に心に効いてきますよ!
自分自身も成長できる
介護は、相手のために自分を犠牲にすることではありません。
多くの人生に関わり、人間の「老い」や「病」と向き合う中で、自然と自分自身の考え方や価値観も豊かになります。
「自分はどういう人生を歩みたいのか」と考えるきっかけをくれるのも、介護の魅力です。介護を通して得られる経験や学びは、あなた自身の成長に直結します。
そもそも訪問介護とは?

訪問介護は、「訪問介護員(ホームヘルパー)」が利用者宅を訪問して、介護サービスを提供します。
サービス内容は、主に「身体介護」と「生活援助」の2種類があります。

ご自宅での生活をサポートする仕事です。
「身体介護」と「生活援助」
「身体介護」も「生活援助」も、利用者が自力では難しい部分をサポートします。
- 身体介護
利用者の身体に直接触れて行う介助サービス。
主な内容:入浴・移動・排泄・着替え・服薬・食事 - 生活援助
日常生活に必要な家事の代行。
主な内容:掃除・洗濯・買物・調理・薬の受け取り

1件あたりの訪問時間は30〜60分くらいが多く、訪問件数はヘルパーさんによって1日に1〜7件くらいです。
訪問介護パートの1日の流れ(モデルケース)
訪問介護のパートとして働くホームヘルパーの1日を、モデルケースとして紹介します。
訪問介護パートは、1日に1件だけ働くことも、最大7件程度まで担当することもできるため、自分の生活に合わせて柔軟に働き方を調整できます。
ここでは、1日に4件訪問した場合の流れを具体的に見ていきましょう。
🚶♀️ 直行
朝は事務所に寄らず、自宅から直接ご利用者宅へ。
⏰ 9:30〜10:00 Aさん宅(排泄・更衣介助)
認知症のある高齢女性。排泄と着替えをサポートします。
衣服を整えると表情も明るくなり、1日のスタートを気持ちよく切れる時間です。
⏰ 10:30〜11:30 Bさん宅(買物・掃除)
一人暮らしの男性宅。冷蔵庫を確認しスーパーで買物、その後掃除。
部屋が清潔に保たれることで生活の安心感が大きく変わります。
🍱 昼休憩
自宅に戻って休む人もいれば、近くのカフェや飲食店で休憩することも。
訪問介護パートは休憩の取り方を柔軟に調整できます。
⏰ 13:00〜14:00 Cさん宅(買物同行)
足腰が弱くなった女性と一緒に買物へ。
「自分で選んで買いたい」という気持ちを尊重し、外出をサポート。気分転換にもなり会話も弾みます。
⏰ 14:30〜15:30 Dさん宅(入浴介助)
要介護度の高い方の入浴支援。安全に配慮しつつ洗身・洗髪。
入浴後は「気持ちいい」と笑顔が見られ、大きなやりがいを感じられる時間です。
🏠 直帰
最後の訪問が終わったら、そのまま自宅へ。
なぜ訪問介護をやろうと思ったのか?──出会いに恵まれ目的を達成できた

私が訪問介護をやってみようと思ったのは、20代半ばの頃でした。
「自分はどう生きるべきか」が定まらず、「何かヒントが欲しい」という思いで始めたのが正直なところです。
それまでの私は、やりたいことに本気で打ち込めず、どこか中途半端な気持ちで日々を過ごしていました。夢も生き方も見つからないまま、「このままでいいのだろうか」と漠然とした焦りを抱えていたのです。
そんな時に出会ったのが、Tさんでした。
Tさんは96歳という高齢でありながら、愚痴や不満を口にせず、ユーモアを交えて穏やかに日々を過ごされていました。その姿はとても自然体で、こちらが学ばされることばかりでした。
会話を重ねるうちに、私は大切なことに気づきました。
人はある日突然立派になれるわけではなく、日々の小さな積み重ねによって、自分の理想に少しずつ近づいていけるのだということです。
この気づきは、「どう生きればいいのか」と迷っていた私にとって大きな指針となりました。Tさんとの出会いは、訪問介護という仕事を通じて、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれたのです。
訪問介護を始めてみた感想は?──「人間」について学びが多い

私は、「どう生きればいいのか」という問題意識がきっかけで訪問介護を始めたので、いろいろな「生き方」「老い」「病」など、これまで関わることが少なかった分野の学びに特に興味を持ちました。
そういう理由もあってか、現場が大変なほど「人間にはこういうこともあるのか…」と勉強になり、嫌だとは思いませんでした。
もちろん、訪問介護パートの働き方が柔軟で働きやすかったのもありますが、毎日新鮮で楽しく働くことができました。
訪問介護が楽しくない?考えられる理由と対策

ストレスが大きくなっている
「訪問介護が楽しくない」と感じる大きな理由のひとつは、ストレスの積み重ねです。
職場の人間関係に悩んだり、ご利用者やご家族との関係でプレッシャーを感じたりすると、心身に負担がかかります。特に介護の現場は、人の生活や命に直結するため、ちょっとした行き違いでも強いストレスになりやすいのです。
ただし、訪問介護には施設介護にはない特徴があります。
それは「交代して現場から離れられる」という点です。もし特定のご利用者やご家族との相性がどうしても合わない場合、管理者に相談すれば担当を変更してもらえるケースがあります。人間関係が固定されがちな施設介護と比べると、訪問介護の方が柔軟にストレスの調整ができるのです。

大切なのは、無理を抱え込まず、早めに周囲へ相談すること。ストレスが大きくなりすぎる前に環境を調整することで、訪問介護を前向きに続けやすくなります。
給料が安すぎる
介護職の給料は、全産業平均を大きく下回り、大きく上がることは難しく、その傾向は今後も変わらないと見られています。
給料が安すぎて、モチベーションが上がらないケースは少なくありません。
介護保険制度の構造的な問題なのでどうすることもできないのですが、自分で取り組める給料アップの工夫もあります。
- 資格を取得する
介護福祉士や実務者研修などの資格は、資格手当や昇給につながります。専門性を高めることで、給与面での評価が得やすくなります。 - キャリアアップする
サービス提供責任者や管理者など、役職に就くことで責任は増えますが、その分基本給や手当もアップします。 - 割増手当を増やす
早朝・夜間帯、休日出勤などは割増手当がつくケースが多いです。シフトを工夫すれば収入を底上げできます。 - 勤続年数を積み上げる
長く働くことで昇給や賞与に反映される場合があります。離職率が高い業界だからこそ「続ける」ことが給料アップにつながるポイントです。 - 副業を伸ばす
介護以外のスキルを活かして副業をする人も増えています。ネットや在宅ワークを組み合わせれば、リスク分散と収入アップを同時に目指せます。 - 転職を考える
同じ介護職でも事業所によって給与水準に差があります。より高い処遇改善加算を取得している事業所や待遇の良い職場に移るのも有効です。
目的なき労働になっている
私の経験上、「自分が何のために働いているのかわからない」という状態はとてもつらいものです。
訪問介護は、ご利用者から感謝される機会も多く、やりがいを感じやすい仕事です。しかし、ただ働いているだけでは、次第にモチベーションは下がっていきます。
例えば、
- 介護の仕事が自分に合っていて、好きな仕事を続けたい
- 高齢者との関わりから、人生経験を学びたい
- 安定した仕事をしていたい
といった「働く目的」があると、仕事は充実し、楽しく続けることができます。

働く目的を明確にすることは、訪問介護を「つらい仕事」から「自分を成長させてくれる仕事」に変える大きな一歩になります。
職場が合わない
訪問介護の仕事自体は好きでも、「この職場では長く続けられない」と感じることがあります。例えば、事業所の方針や介護方針が自分の価値観と合わなかったり、残業やサービス残業が常態化しているようなブラックな職場も存在します。
また、人手不足が慢性化している職場では、過剰な負担がかかりやすく、やりがいを感じにくくなってしまうこともあります。
しかし、訪問介護の事業所は全国に数多くあり、職場環境や方針もそれぞれ大きく異なります。人手不足だからこそ、条件を見直せば自分に合った事業所を見つけやすいという側面もあります。
訪問介護パートとして働くメリット、デメリット
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訪問介護で働くにあたって、私は正社員として働くよりも、パートとしての働き方の方が、自由度やライフスタイルに合ったメリットが大きいと感じています。
一方で、より深く介護に関わりたい人にとっては、正社員としてサービス提供責任者などへのキャリアアップも選択肢のひとつです。
ここからは、訪問介護パートとして働く場合のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
訪問介護パートのメリット
- 向いている人には負担が少なめ
利用者のケア内容や働き方が合っていれば、身体的・精神的な負担は思ったほど大きくありません。自分のペースで仕事を進められる点も魅力です。 - 人間関係のストレスが少ない「単独行動」
訪問介護は1対1での仕事が基本。職場の人間関係や派閥に巻き込まれることが少なく、精神的に疲れにくいのが特徴です。 - 一件ごとの訪問時間が短く、疲労感が少ない
訪問介護は1回のケアが数十分〜1時間程度のことが多く、施設のように長時間立ちっぱなしで働く必要がありません。そのため、体への負担が抑えられ、意外と疲れにくい働き方ができます。 - 「助ける」仕事だから心が軽い
利用者が困っていることをサポートする仕事は、やりがいがダイレクトに感じられ、仕事後に心にわだかまりが残りにくいのも特徴です。 - 出会いが面白い!普段関わらない人と接する楽しさ
高齢者や家族、地域の人々など、普段の生活では出会わない方と関われる貴重な経験が得られます。 - 介護の“全体像”が見えてくる
利用者の生活全体をサポートするため、介護の幅広い知識やスキルを自然と身につけることができます。 - 仕事がなくならない安心感
高齢化社会で需要が安定しており、訪問介護パートは長期的に働きやすい職種です。

訪問介護パートの働き方の最大の魅力は、無駄なストレスを避けられるところです!
訪問介護パートのデメリットとその対策
訪問介護パートには自由な働き方や人間関係の軽さなど多くのメリットがありますが、一方で注意すべき点もあります。
- 給料が不安定になりがち
利用者の都合で急なキャンセルやサービス終了があると、働く時間や給料が減ることがあります。この場合は、仕事が減る分を見越してシフトを調整したり、複数の利用者を担当しておくことでリスクを減らせます。 - 移動時間が意外と多くなる
訪問先が複数ある場合、移動時間が長くなることもあります。訪問ルートを効率よく組むことで、無駄な移動を減らし体力の消耗を抑えられます。 - 施設と比べると孤独を感じやすい
訪問介護は1対1で利用者宅に訪問するため、同僚と接する機会が少なく孤独を感じることがあります。定期的な研修や職員同士の交流の場を積極的に活用すると、孤立感を和らげることができます。

メリットも多いものの、収入面は介護職にとって課題と言えます。
訪問介護パートをおすすめできる人、できない人

訪問介護パートという働き方は、自由度が高く、ライフスタイルに合わせて柔軟に働けるので、「向いている人」には特におすすめです。
一方で、介護保険の仕組みを考えると、高収入を得るのは難しい職種なので注意が必要です。
訪問介護に向いている人とはどんな人?
訪問介護に向いている人の特徴は次のようなものがあります
- 相手の気持ちに気づける
利用者さんの表情や言動のわずかな変化に気づき、体調や気分の変化に柔軟に対応できる人は信頼関係を築きやすいです。 - 人に興味がある
相手の生活背景や趣味、思い出話などに関心を持ち、話を聞いたり関わったりするのが好きな人は、仕事がより充実します。 - 誰かの役に立ちたい
自分のサポートで生活が改善したり、心が穏やかになったりすることを実感できる人は、やりがいを感じながら働けます。

特別難しい仕事はないですが、向き不向きはハッキリある仕事だと思います。
訪問介護パートをおすすめできる人
「ちょうど良い働き方」を求めて、ライフスタイルに柔軟に対応できる仕事を探している人や、施設介護に疲れてしまった人には、訪問介護パートはおすすめです。
ここでは概要を紹介し、詳しくは個別記事で解説しています。
ライフスタイルに柔軟に対応できる仕事を探している方
- 子育て中、子育てが一段落したママ
家事や育児と両立しやすく、無理のない働き方ができます。
👉 子育てママに訪問介護パートが向いている理由 - ダブルワークの方
スキマ時間を活かして収入を増やすことができます。
👉 副業と両立できる訪問介護の働き方 - 60代でまだまだ働ける方
新しいことを覚える不安があっても、大丈夫です。
👉 シニア世代が訪問介護を選ぶメリット - 高齢者の人生経験から学びたい若い方
ご利用者との関わりを通して、人間関係や生き方について学べます。
👉 若い世代が訪問介護で得られる学びとは - 介護職に転職したい方
未経験でも始めやすく、資格取得のステップにもなります。
👉 介護職への転職に訪問介護をおすすめする理由 - 夢を追いながら働くフリーターの方
シフトの融通が利くので、自分の活動と両立可能です。
👉 夢と両立できる訪問介護パートの働き方 - バリスタFIREしている方
生活費を補いながら、社会とのつながりも持てます。
👉 セミリタイア後に訪問介護を選ぶメリット
施設介護に疲れてしまった方
- 以前介護職をしていて、転職した方
経験を活かしつつ、負担の少ない形で再び介護に関われます。
👉 ブランクがあっても訪問介護なら安心して復帰できる - 施設介護が合わなかった方
施設特有の忙しさや人間関係のストレスから解放されます。
👉 施設介護が合わなかった人に訪問介護をすすめる理由
もっと詳しくはこちら
👉(近日公開予定)「ライフスタイル別|訪問介護パートに向いている人まとめ」
訪問介護パートをおすすめできない人
柔軟に働けて広くおすすめできる訪問介護パートですが、おすすめできないのは「高収入を得たい人」です。
介護職は、介護保険の仕組み上、給与の水準は上がりにくい職種です。
ただ、最近では副業に取り組むことも一般的になってきており、訪問介護パートと副業を組み合わせて高収入を目指すということも不可能ではありません。
訪問介護パートのしんどい、大変なところは?

訪問介護の仕事については、「きつい」「精神的に大変」「収入が低い」といったイメージを持つ人も少なくありません。
確かに、現場で働く中では大変だと感じる場面もあります。
ただ、私は働く中で「きついかどうか」よりも、自分が何のために働いているのかという「目的意識」の方を強く意識していました。
逆に、この目的がはっきりしていなかった時期は、仕事がつらく感じられたのを覚えています。
一般的な訪問介護パートのきついところ
訪問介護の仕事には、身体的・精神的・仕事内容・天候・待遇など、さまざまな面で大変さを感じることがあります。
- 待遇や収入面の課題
パート勤務では給料が時間単位で決まるため、急なキャンセルやサービス終了で収入が変動することがあります。 - 身体的な負担
入浴介助や移動介助などで体に力を使う場面があり、腰痛や肩こりなどの身体的疲労が蓄積することがあります。 - 精神的な負担
認知症の方の対応や、家族との関わり、緊急対応など、精神的に気を使う場面が多くあります。 - 仕事内容の難しさ
利用者一人ひとりの状態や要望が異なるため、臨機応変な対応が求められ、慣れるまでは戸惑いやストレスを感じやすいです。 - 天候や環境の影響
自転車での移動や外出介助、買物同行などは天候に左右され、暑さや寒さ、雨風の中での対応が必要になることもあります。
きついかどうかよりも、「自分の目的」が大事
私は、新卒で入った外壁リフォームの会社で、「何のために働くのか」「自分はどうしたいのか」がハッキリせず、意欲が持てずに辞めてしまったことがあります。
その経験から、「自分の目的」を見つけたいと思い、訪問介護の仕事を選びました。仕事中は、ご利用者さんから「何かヒントを得よう」ということに意識が向いていたので、身体的な大変さや精神的な負担もあまり気になりませんでした。
私が感じたのは、仕事のつらさには、単なる作業の大変さだけでなく、「目的なき労働」のつらさも大きく影響しているということです。
訪問介護に資格は必要?

訪問介護の仕事をするには、原則として「介護職員初任者研修」以上の資格が必要です。これは、身体介護はもちろん、掃除や買い物などの生活援助であっても、基本的に無資格では行えないという決まりがあるためです。
そのため、訪問介護の仕事を始めるには、まず初任者研修を修了することがスタートラインになります。
「介護職員初任者研修」は、公共の支援制度が非常に充実しており、無料または少ない費用負担で取得しやすくなっています。
訪問介護パートについてのよくある質問

訪問介護パートとして働く前に、よく寄せられる疑問をまとめました。初めて訪問介護に挑戦する方や、施設介護から転職を考えている方の参考になる内容です。
Q1. 訪問介護パートの勤務時間はどのくらいですか?
勤務時間は事業所や契約によりますが、1日1件から複数件まで柔軟に対応できます。ライフスタイルに合わせて午前中だけ、午後だけ、フルタイムなど調整可能です。
Q2. 未経験でも働けますか?
未経験者歓迎の事業所も多くあります。介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)などの資格を取得すれば、安心してスタートできます。
Q3. 1人で働くので不安です
訪問介護は1対1でご利用者宅に訪問しますが、事業所がしっかりサポートしてくれます。困ったときは電話や報告書で相談できる体制が整っているので安心です。
Q4. 体力的に不安なのですが大丈夫ですか?
施設介護と比べると、移動時間や作業時間が分散しているため、体への負担は少なめです。利用者ごとのペースで働けるので、体力に自信がなくても働きやすい環境です。
Q5. 給料はどのくらいですか?
給料は時給制が一般的で、1時間あたり1,200円〜2,000円程度が目安です(地域や資格によって差があります)。勤務件数や夜勤・早朝手当などによっても変動します。
訪問介護パートへの転職体験談

施設介護から訪問介護パートに転職(40代女性)
私はこれまで約15年間、施設介護で働いてきました。体力的にきつく、シフトも夜勤や長時間勤務が多いため、次第に心身の負担を感じるようになりました。
「もっと自分のペースで働きたい」「家庭との両立もしたい」と考え、訪問介護のパートへの転職を決意しました。
初めは「施設と違って大変じゃないだろうか」と不安もありましたが、実際に働き始めると、自分の担当する利用者さんと1対1で向き合う時間は非常に充実していました。
施設では忙しくてなかなか関われなかった細やかな支援も、訪問介護ではしっかり行うことができ、「ありがとう」と直接言ってもらえる瞬間にやりがいを感じます。
また、勤務時間や曜日を自分で調整できるので、家事や子どもとの時間も確保できるようになりました。
もちろん、初めての訪問介護では戸惑いや学ぶことも多かったですが、施設で培った経験が活き、徐々に自信を持って仕事をこなせるようになりました。

転職して感じたのは、「自分のペースで、かつ人の役に立てる仕事の楽しさ」です。40代でも、自分の経験を活かして新しい働き方に挑戦できると実感しています。
施設介護から一度他業種へ転職し、訪問介護パートに戻ったケース(30代男性)
私は30代男性で、もともとは介護施設で働いていました。
しかし、施設での多忙な業務や人間関係のストレスから一度介護職を離れ、他業種に転職しました。
新しい仕事も経験になりましたが、次第に「誰かの生活に直接役立つ仕事がしたい」という思いが強くなり、訪問介護パートへの転職を決めました。
訪問介護では、1件ずつ利用者さんの自宅を訪問してケアをするため、自分のペースで働きながら、一人ひとりに丁寧に向き合えます。
以前の施設での経験も活かせるうえ、利用者さんやご家族から直接「ありがとう」と感謝される瞬間が多く、仕事のやりがいを実感しています。

この転職を通じて気づいたのは、「介護という仕事は、働く環境や形を変えることで、自分に合ったやりがいを見つけられる」ということです。施設での経験と他業種での経験の両方が、今の訪問介護パートの仕事に活きています。
訪問介護に携わる私の、これからの目標

訪問介護(特にパート)は、ライフスタイルに合わせて柔軟に働きやすくおすすめできます。
ただ一方で、大きな課題となるのが 「収入の少なさ」 です。
介護に興味はあっても「賃金が低いから…」と見送る人は少なくありません。長く続けるためにも、いかに収入を工夫していくかが大切だと感じています。
介護職の給料の現実
介護職の給料は全産業平均を大きく下回っており、今後も急激に上がることは期待しづらいといわれています。
大きな流れは変えられませんが、「その中でどう収入を伸ばすか」 は自分次第で工夫できる部分があります。
私の戦略:「訪問介護(パート)×副業」
私が考えているのは、「訪問介護で安定的に収入を得ながら、副業で稼ぐ力を養っていく」という戦略です。
訪問介護のパートは働きやすく、心身への負担も比較的少ないため、空いた時間やエネルギーを副業に充てやすいのがメリットです。
副業はすぐに収入になるわけではありませんが、時間をかけて育てれば将来的には介護の給料を超える収入を得られる可能性もあります。
未来のイメージ
本業で安定した収入を確保しつつ、副業を伸ばすことで選択肢が広がります。
介護を余裕を持って続けることもできれば、副業を本業に切り替えることもできる──。
そうなったときには、経済的にも精神的にもゆとりを持って介護に向き合えるはずです。
「介護職でありながら収入も伴う」そんな未来が、今の私の目標です。
まとめ:訪問介護は楽しい!工夫すればこれからももっと楽しくなる

訪問介護の現場に立ち続けて、気づけば20年以上が経ちました。
振り返って思うのは──やっぱり 訪問介護は楽しい仕事だ ということです。
訪問介護にはこんな魅力があります。
- やりがい:ご利用者やご家族からの「ありがとう」に直接ふれられる
- 成長できる:人の人生や価値観に向き合うことで、自分自身の人生観も育つ
- 働きやすさ:パート勤務ならライフスタイルに合わせやすい
もちろん、収入が低めなのは玉に瑕です。
ただ、資格取得やキャリアアップ、副業との組み合わせといった工夫で補うことはできます。
今後は「訪問介護パート × 副業」で収入面を強化していくことを目標にしています。
そうやって生活の基盤を整えられれば、今よりもっと余裕を持って訪問介護を楽しめるはずです。
訪問介護は、工夫次第でもっと楽しく続けられる仕事。
その可能性をこれからも伝えていきたいと思います。
訪問介護に興味がある方はこちらもご覧ください